コラム

システム設計ツールの選定方法|システム設計ツールの選び方を解説

システム設計を効率化するには、ツールを導入することが効果的です。しかし、「ローコード開発ツール」のようにわかりやすい成果を短期間で得られるわけではないため、未だExcel等を使った設計を続ける企業は多く、システム設計ツールの普及度はそこまで高くありません。そのため、システム設計ツールについてご存じでない方も多いでしょう。
そこで今回は、システム設計に関連する主なツールと選定のポイントについてご紹介します。

システム設計ツールの種類

一口に「システム設計ツール」と言っても、カバーする工程や対象とする成果物によって、ツールで実現できることは大きく変わってきます。以下に簡単にご紹介しますが、詳しくは各ツールの製品サイトをご確認ください。

XupperⅡ

XupperⅡ は、1994年の販売開始から30年近い歴史のある上流工程支援ツールです。
主な機能は、「要件管理機能」「ビジネスフロー図」「ビジネスルール」「プロセス階層図」「エンティティ関連図」「GUIフォーム設計」「CRUDマトリックス」「ディクショナリ」など、上流工程に特化しています。

Enterprise Architect

Enterprise Architect は、UML・SysML・BPMNなどの記述法に対応したモデリングツールです。
UMLやSysMLといったモデリング言語で、「パッケージ図」「ユースケース図」「アクティビティ図」「シーケンス図」などを作成できます。また、「BPMN」「状態遷移表」「DFD」「USDM」などの作成も可能です。

astah*

astah* は、上流工程及びビジネスモデリングでの活用を重視したモデリングツールです。
「クラス図」「ユースケース図」「シーケンス図」「アクティビティ図」といったUML2.x系のUMLドキュメントを中心に、「ER図」や「フローチャート」「CRUD」「データフロー図」などを作成できます。

Next Design

Next Design は、組み込みシステムソフトウェア開発のための設計支援ツールです。
各工程の設計情報を定義し、「ドキュメントフォーム」「ツリーグリッド」「ERダイアグラム」「ツリーダイアグラム」など、様々なビューで表現できます。

Verasym System Designer(VSSD)

VSSD は、要件定義から詳細設計フェーズまで全体的にカバーするシステム設計ツールです。
「テーブル定義」「画面定義」「帳票定義」「データモデル(ER図)」「画面遷移図」「メッセージ定義」「モックアップ」「CRUD表」「オブジェクト関連図」など、設計工程で必要な20種類以上の設計書に対応。これまでExcel等で作成してきた設計書と同等のものを、同様な操作感で作成できます。

システム設計ツールの選定のポイント

ツールによって価格帯は異なり、支払い形式も買い切り形式だったりサブスクリプション形式だったりと様々ですが、いずれにせよ簡単な買い物ではありません。購入するからには正しく運用し、成果を上げられるよう、適切なツールを選定する必要があります。

まずは現在の課題や目標を整理する

ツールの導入はあくまで「手段」であり、「目的」ではありません。課題の解消や目標の達成を目的として、その手段として導入されるべきです。そのため、まずは現在どのような課題や目標があるのかを明確にしなければなりません。
先述の通り、システム設計ツールは対象となる工程や成果物などによって、ツールで実現できることが大きく変わってきます。目的が曖昧な状態で導入してしまうことのないよう、注意が必要です。ツールに目を向ける前に、まずは現在の状況と向き合いましょう。

実際に書いてみる

デモやサンプルを見た限りではとても良く出来ているように見えても、実際に使ってみたら思うようにいかない…といったケースはよくあります。また、体験版を使って適当に動かしてみた範囲では良さそうに感じても、具体的な設計書を書いてみたら思ったようにいかないというケースもあるようです。そのようなことが無いよう、少し時間はかかるかもしれませんが、サンプル程度ではない具体的な設計書を書いてみることをお勧めします。
過去実際に開発したシステムの設計書をインプットとして、書きたい設計書を正しく書くことができるか、その過去案件で苦労した点を改善できそうか等を正しく検証するには、やはり正解をイメージしやすい具体的な設計書を書いた方が効果的です。これにより、導入後のトラブルを抑止できるはずです。

メリット・デメリットを正しく理解する

Excelで設計書を書かれてきた方の中には、「ツールの自由度が高すぎて、個人ごとに表現がバラバラになってしまう」「ファイルサーバーの複数の場所にファイルがコピーされてどれが最新かわからない」等の課題を感じている方も多いでしょう。これらは確かにExcelで設計することのデメリットですが、「自由度が高く、書こうと思えばなんでも書ける」「簡単にコピーできて自由に履歴を残せる」と表現を変えればメリットでもあります。
システム設計ツールに関してもこれは同じであり、そのツールでできることがメリットなのかデメリットなのかは、やりたいことや利用局面などによって変わってきます。どのような機能があり、どのようなメリットが見込めるのか、どのようなデメリットがリスクになり得るのかをよく理解した上で選定する必要があるのです。

長期的な運用をイメージする

ツールの導入に関してしばしば起こる問題としては、「導入を促す側」と「実際に利用する側」の温度差が挙げられます。
ツールを導入するということはこれまでの運用を変えるということであり、これにはかなりの労力を要します。つまるところ、「面倒臭い」。その一言に尽きます。ツールの恩恵を受けられるようになれば楽になるのはわかってはいても、そこに至るまでの苦労が、特に第一歩を踏み出すのがとても苦痛です。上司の鶴の一声でツールが導入され、苦労された経験のある方は少なくないのではないでしょうか。
大切なのは、「利用者が無理なく長期的に運用できること」です。具体的な運用をイメージしつつ、長期的な目標だけでなくまず短期的な目標を設定しましょう。そして定期的に目標を見直すことで、無理のない運用を目指すことが、ツールを定着させるとても重要なポイントとなります。

システム設計専用ツールVSSDで出来ること

システム設計ツール「Verasym System Designer(VSSD)」は、システム設計に必要な20種類以上の設計書を統一されたフォーマットで作成でき、設計変更時の影響参照や変更反映を簡単に行えるなど、システム設計を便利にする機能が数多く搭載されています。中でも、特に特長的なものを以下にご紹介します。

これまで通りのシステム設計

VSSDは要件定義から詳細設計フェーズまで全体的にカバーしており、日本で古くから行われてきたシステム開発の流れに沿っているため、直感的にわかりやすいのが特長です。これまでExcel等で作成してきた設計書と同等のものを、同様な操作感で作成できるため学習コストも低減できます。
また、Excel等で設計をしていて困ったこと、例えば「設計変更時の影響範囲が大変」「変更が入ったら影響箇所を一つ一つ手作業で直さなければならない」「どの設計書が最新かわからない」といった身近な問題を解決する仕組みがあるため、効果を実感しやすいのも特長です。

ローカルで作成し、サーバーで共有

ツールによってはスタンドアロンでしか動作せず、複数人で共有する場合はファイルサーバーにファイルを配置するなどして共有する必要がありますが、VSSDではサーバーにリポジトリDBを構築することで簡単に共有できます。
まず、VSSDクライアントをインストールした端末からVSSDサーバーに接続することで、リポジトリから設計情報がダウンロードされます。以降は基本的にローカルのデータを編集し、必要に応じて「同期」を行うことで、自動的に自分のデータがアップロードされ、他ユーザーのデータがダウンロードされるのです。そのため、スタンドアロンのみのツールよりも簡単にチーム設計が行えます。

ローコード開発ツールとの連携

システム設計にツールを導入したところで、どれほど金銭的に得をするかは計算が難しいところ。品質が向上することでトラブルが抑止されたり、影響調査工数を削減できたり、慣れてくれば生産性が向上したりといった効果は見込めますが、設計工数が劇的に減るわけではありません。なぜなら設計工程で一番時間がかかるのは「考えること」であり、それはツールの外側の話だからです。

システム開発において、もっとも工数がかかるのはやはり開発工程であるため、開発工程の工数を削減できれば金銭的に大きな効果が見込めます。
VSSDには、オプション製品としてローコード開発ツール「Verasym Application Generator(VSAG)」があり、VSSDの設計情報から画面レイアウトや問合せ(SQL)などを生成できるため、開発工数を大幅に削減することが可能となっています。

体験版で製品版と同じ機能を体験

VSSDは、30日間無償で使用できる体験版を製品サイトからダウンロードできます。体験版はスタンドアロン利用限定となるため、リポジトリDBを活用したチームでの設計は行えませんが、その他の機能はすべてお試しいただくことが可能です。また、体験版で作成したデータは製品版で引き続き使用することが可能です。
体験版にはサンプルシステムが同梱されており、システム開発で必要な設計書のサンプルがそれぞれ用意されていますが、やはりご自分で一から設計されることをお勧めします。本番想定で体験版を使用することで、製品の真価をご確認ください。

利用をやめたくなったらExcel出力

VSSDには設計書の種類ごとに専用のUIが用意されており、VSSDクライアントアプリケーション上で設計を行うことになりますが、そのような専用ツールを検討する場合、「プロジェクトの方針が変わってツールの利用をやめることになった」「販売元の製品・サービスの提供が終了した」などの理由で、過去の設計書を見ることができなくなってしまうという事態を危惧される方もいらっしゃるでしょう。
VSSDは設計情報をExcelに出力でき、もし利用をやめることになったとしても引き続き閲覧することができるため、心配は要りません。

まとめ

今回、いくつかのツールや選定方法などご紹介しましたが、もう一つ大事なことがあります。それは、ツールで解決しようとしすぎないことです。「ツールを導入するからには、すべてツールに取り込まないともったいない」と、ツールに適さないものまで無理に適用しようとしても、決してうまくはいきません。ツールに任せることでメリットがある範囲には積極的に適用し、そうでない範囲は運用に任せるなど、ツールに縛られることなく適度に活用することが成功への近道です。