事例紹介

  • 神戸市水道局様 ICT化とDX推進に向けたインターネット開閉栓受付システム再構築

    ソリューション システム・インフラ構築
    サービス システムインテグレーション

インターネット開閉栓受付システムの刷新で時代の変化に即したニーズに応え市民サービスの向上を推進

神戸市民150万人(2023年10月現在)へ安心・安全な水を供給している神戸市水道局。同局では、市民がより便利に水道を利用できるよう、従来から運用していた「インターネット開閉栓受付システム」の再構築に踏み切った。再構築プロジェクトの中で、新システムはフルスクラッチで構築されることとなり、それを担当したのが第一コンピュータリソース(DCR)である。
  • 導入前の課題

    • ・システムへの入力項目が煩雑であり、ユーザビリティへの配慮がされていなかった。
    • ・現状のシステムがスマートフォン向けに最適化されていなかった。
    • ・水道局基幹システムと連携されていなかったため、利用者情報を手入力で行う手間があった。
  • 導入後の効果

    • ・年齢層、ITスキルを問わず、どんな方でも直感的に操作できるユニバーサルなデザインのUIを実装。
    • ・インターネット受付の増加に伴い、受付センターへの問い合わせ件数が減少。

長期にわたるシステム運用でユーザビリティや操作性に課題

神戸市水道局は、利用者サービス向上の一環として2012年1月より「インターネット開閉栓受付システム」を運用してきた。同システムは、水道の開栓/閉栓の各種手続き、請求先情報の登録などをオンラインで可能にするものであり、利用者の利便性向上と申請に関する情報のデータ化を実現している。
「約10年にわたりインターネット開閉栓受付システムを運用してきました。しかし、さまざまな面で“古さ”が目立つようになり、運用に不都合が生じてきました」と話すのは、神戸市水道局 営業課 畑 千昭氏だ。
システムの性能には問題はないものの、時代に即したユーザビリティの不足を強く感じていたという。例えば、利用者情報を入力する場合、1画面内に多数あるテキストボックスに利用者自身が各種情報を手入力していくような状況であったとのこと。
「現在は、1人1台スマートフォンを持つのが当たり前の時代です。従来のインターネット開閉栓受付システムは、原則としてパソコンのWebブラウザで表示し、そこから操作、各種情報を入力するような仕様になっていたため、利用者の利便性を考えるとスマートフォン対応は必須でした」(畑氏)
また、従来のシステムでは市民がインターネットから入力した情報をプリントアウトし、オペレーターが目視して手入力するなど、職員の負担も大きかった。さらには水道局のICT化とDX推進の意味でも、RPAによる自動入力が可能となるようなデータ仕様にシステムを構築することが求められていたという。

ITリテラシーの有無を問わず誰もが使えるシステムを目指す

上述した課題を解決すべく、さっそくインターネット開閉栓受付システム再構築プロジェクトが立ち上がった。
「プロジェクト開始前には、従来のシステムを改修する案やパッケージシステムを採用する案などが挙がりました。ただ改修案では現状の問題を解決する機能の実装が困難で、従来システムの解析に時間と費用がかかることが懸念されました。一方のパッケージ採用案はコスト面と、ベンダー依存から抜け出せなくリスクがあるため採用を見合わせることにしました。水道に関するすべての手続きをインターネットで完結できる仕組みにしたいと考えていたため、最終的にフルクラッチで再構築することに決めました」(畑氏)
2021年10月にフルスクラッチで再構築する方針が決まり、入札を経て開発を担当することになったのがDCRだった。
「第一に、ユーザビリティをどうしたら上げられるかを考えました。使い方やヘルプがなくても直感的に触って使えるシステムを目指すとともに、飽きのこないデザインをDCRに要望しました」(畑氏)
デザインについてはDCRが専門のデザイナーに発注するとともに、HPのトーン&コンセプトと大きく乖離しないような工夫がなされている。また、新システムの開発にはごく一般的で広く普及している開発言語やツールなどを採用されているため、汎用性が高く、余計なコストをかけず運用や保守ができるのもポイントだ。
「DCRからはさまざまな提案をいただきました。また、私の漠然としたアイデアや要望に対して、『コストが大幅にかかるだけでなく、別の問題も発生するからその仕様は難しい』などと正直ベースで話してくれます。公共事業の予算の範疇で実現可能なことは限られていますし、機能を詰め込みすぎると今後のシステム改修での汎用性に欠ける可能性もある――。そういったことも判断していただきながら、意見を交換していきました」と畑氏はプロジェクトを振り返る。


インターネット開閉栓受付システムの全体構成

デザイン性に優れたUIを実現職員の事務作業効率化にも寄与

プロジェクトは2022年末に完了し、新たなインターネット開閉栓受付システムは2023年1月より運用が開始。そのデザインおよび色使いは神戸市水道局のイメージカラーと統一された優しい風合いであり、感覚的な操作で各種手続きを行える。
「利用者の操作環境がスマートフォンであってもパソコンであってもデザインが大きく変わらず、入力するデータについても基本的に選択式になっているため誤入力の心配もありません。また、RPAへのデータ受け渡しもスムーズな仕様となっています」(畑氏)
さらに、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応した発行機能が追加されるなど、時代に合わせたアップデートも行われている。なお、インボイス対応の電子交付に対応している自治体は、国内では神戸市の他は数市である。
新システムの運用が開始されたことで、神戸市水道局内部の精神的な負担も軽減している。これまで、転入/転出の季節となる年度末/年度初めには、開栓/閉栓を受け付ける受付センターの電話が混み合い、市民から「つながりにくい」という苦情も寄せられることがあったそうだ。しかし、新たなインターネット開閉栓受付システムの運用開始後には、インターネットからの受付が増加したことで、結果的に電話がつながりやすくなった。さらに機能改善により市民からの問い合わせが多かった開栓の入力手順を説明する電話もほとんどなくなったという。
さらに、インターネット開閉栓受付システムと水道局基幹システムとの連携により、職員による入力作業の負担が大きく軽減され、局所的ではあるが閉栓受付における職員の手間も少なくなったという。

市民サービスの向上を命題にスマホユーザーの利便性を底上げ

神戸市水道局では、さらなる利便性を求めるべく、インターネット開閉栓受付システムのバージョンアップも検討しているとのこと。
「いずれは、水道に関わることをスマートフォンだけで完結するようにしたいと思っています。現在、多くの利用者は水道料金の支払いに口座振替を利用していますが、スマートフォンで水道料金を確認してそのままスマートフォンで払えるようにしていきたいですね」(畑氏)
加えて、365日24時間、リアルタイムで利用者にサービスを提供する体制も検討している。現在では、インターネット開閉栓受付システムが利用者からの各種操作を受け付けたり料金を示したりするフロント部分となっている一方で、実際の水道料金を計算する基幹システムが別に存在している。もちろん、連携は毎日実行されているが、その間にデータのタイムラグが生じているのだ。
「データ連携のタイムラグをなくす形でシステム構築が行えたらと考えています。そのためにもDCRにはインターネット開閉栓受付システムを末永く面倒を見てもらいたいですね。とはいえ、究極の目的は市民サービスの向上であるため、DCRには今後も神戸市水道局のモットーと視座を同じくしていただき、安心・安全なシステムを作りつづけてもらいたいです」と畑氏はDCRへ期待を寄せた。
kobecitywaterworksbureau

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