コラム

Delphi資産をどう見える化するか──DFM・PAS・SQLとDB定義の解析

前回の記事では、経営層向けに「見える化の価値」を整理しました。今回は視点を変え、技術者が実際にどのようにDelphi資産やDB資産をリバースエンジニアリングしながら解析し、設計書として展開できるのかを具体的に解説します。
DFM(フォーム定義)、PAS(イベント処理)、埋め込みSQL、そしてDDL(テーブル定義)──これらを対象に、設計情報を再構築するリバースエンジニアリングの流れを追いながら、VSSD上での設計書化までを紹介していきます。

前回の記事はこちらをご覧ください。

Delphi資産の構造と課題

Delphiのアプリケーションは主に以下の3つの要素で構成されています。
DFMファイル:フォーム定義。UIコンポーネントの配置やプロパティ、イベントの紐付けが記録される。
PASファイル:イベントハンドラやビジネスロジックを記述するソースコード。
埋め込みSQL:フォームやコード内に直接記述されたSQL文。

これらが密結合して動作するため、ブラックボックス化すると解析が難しくなります。

DB資産の構造

アプリケーション資産だけでなく、DB資産も合わせて解析する必要があります。
テーブル定義・ビュー定義:DDL文(Create文)から生成する。
ドメイン定義:テーブルの各項目から項目定義を抜き出すことで、同名項目の定義に流用・管理を一元化できる。

つまり、アプリケーション資産(DFM/PAS/SQL)とDB資産(DDL)を両輪で扱うことで、初めてシステム全体の設計情報が揃います。


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設計書自動生成

アプリケーション資産とDB資産を機械的に解析することで、設計書を自動生成します。
・画面・クラス定義
 ー レイアウト(DFMから)
 ー 処理記述(PASから)
 ー SQL呼び出し(アプリ内SQLから)
・テーブル・ビュー・ドメイン定義(DDLから)

アプリケーションやDBとの関連情報を抽出

設計書だけでなく、下記のような関連情報もシステムの見える化には重要です。
・アプリケーション間の依存関係を可視化
・アプリケーションとDBのCRUD関係を整理
・システム全体の構造を俯瞰できる状態を提供

これにより、単なる設計書の集合ではなく「システム全体像」を把握できるようになります。

VSSD上に見える化

抽出・生成した設計情報は、システム設計ツール「Verasym System Designer(VSSD)」にインポートすることで整理されます。
これにより、属人化していた仕様が「誰でも読める設計書」として可視化されます。

⑴ 画面項目解析、レイアウト生成(DFM)

フォーム定義を解析し、画面項目一覧とレイアウトイメージを生成。

<項目定義>
DFMの項目定義を一覧化。

<レイアウト>
レイアウトを忠実に再現。

⑵ SQL抽出

<初期化処理>
SQLオブジェクトの初期化処理(SQL)は処理詳細として取り込む。

<変数宣言>
SQLオブジェクトは変数として宣言し、対応する初期化処理の名称を明記。

⑶ イベント・処理解析(PAS)

イベントハンドラやロジックを処理記述として整理。

<イベント処理記述>
ロジックは可能な限り日本語化し、詳細設計レベルの処理記述を生成。

VSAGでの出力(オプション)

さらに一歩進める場合は、ローコード開発ツール「Verasym Application Generator(VSAG)」を利用して新言語形式に出力できます。
・C#など、別言語のコード雛形を自動生成
・UIやDBアクセス部分は自動化、ロジック部分は生成AI+技術者で補完
・マイグレーションの初期工程を効率化

ただし、これは必須ではなく、まずはVSSDで設計情報を整備することが第一歩となります。

VSSDだけでも価値がある

VSAGによる新言語出力はその先のステップですが、VSSDに設計情報を集約するだけでも十分に価値があります。
・設計情報の一元化による属人化の解消
・保守・改修時の影響範囲調査の効率化
・内部統制や監査対応の強化
・将来のマイグレーション計画の基盤整備

つまり「VSSDで設計書として読める状態にする」こと自体が投資効果を生むのです。

まとめ

Delphi資産の見える化は、アプリケーション資産とDB資産の両方を解析し、設計書を作る「設計書生成サービス」と関連情報を抽出する「分析サービス」を組み合わせることで実現できます。
今回はDelphiに特化した解説となりますが、VB6や古い.NET、Javaなども同様に対応可能です。
・設計書生成サービスで基盤を作り
・分析サービスで全体像を補完し
・VSSDに集約して設計書として整理する

これにより、ブラックボックス化したDelphi資産も「設計書として読める状態」に変わり、保守性・移行性が大幅に向上します。具体的な変換例の詳細をご覧になりたい方は、定期的にウェブセミナーを実施していますので、以下のサイトをご確認ください。



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