コラム

西尾孝之(Takayuki Nishio)
DCRはオラクルのセキュリティ高度化への取り組みに賛同し、お客様システムのセキュリティ対策に貢献してまいります。
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AIの活用が広がる一方で、最近は「AIをどう使うか」だけでなく、AI時代にどう守るかも真剣に考えないといけない時代になってきました。
特にセキュリティの世界では、攻撃する側もAIを使えるようになっています。
「脆弱性を見つける、悪用方法を試す、攻撃の準備を進める」こうした動きが、これまでよりずっと速くなっています。
守る側からすると、「問題が起きたら対応する」では間に合いにくい世界になってきます。
その中で、改めて大事になるのがデータベースをどう守るかです。
最終的に守りたいのは、アプリそのものよりも、その中にある業務データです。
顧客情報、受発注、会計、在庫、人事。こうしたデータが失われたり、抜き取られたり、改ざんされたりすれば、事業の継続に直接響いてきます。
そこで今回は、AI時代のデータベースセキュリティ対策の1つの現実解として、Oracle Autonomous AI Databaseを取り上げます。
※本コラムの「Autonomous AI Database」は、「Autonomous AI Database Serverless」を対象としています。

オラクル社「Autonomous AI Database」資料から抜粋
Oracle Autonomous AI Databaseは、日本語では「自律型データベース」と表されます。
「Oracle Databaseを、できるだけ人手に頼らず安全に使い続けるためのフルマネージド型データベース」です。
従来のデータベース運用では、DBAやインフラ担当者が、パッチ適用、バックアップ、性能監視、障害対応、容量管理、バージョン管理など、多くの作業を行っていました。
もちろん、どれも大事な仕事です。
ただ、その一方で、こうした作業が人手に依存すると、どうしても遅れやばらつきが出ます。
実際のリスクは、こういうところにたまりやすいものではないでしょうか。
Autonomous AI Databaseは、こうした日々の運用の多くをデータベース側で自動化しています。
パッチ適用、バックアップ、監視、可用性維持、暗号化、監査などが作成時点で組み込まれており、利用者は「データベースを維持すること」よりも、「格納されたデータをどう使うか」に集中しやすくなっています。
しかも、ただ運用が楽になるだけではありません。
Autonomous AI Databaseには、AIによる検索で必要な基盤ベクトルデータベース、日本語でテーブルのデータを問い合わせできるSelect AI、様々なデータ型への対応(JSON、グラフ、空間情報)など、AI時代のデータ活用を前提にした設計になっています。
データベース側の強みとAIサービスを組み合わせることが容易に実現できる基盤です。
この話で重要なのは、Autonomous AI DatabaseがOracle Cloudを利用している方だけのものではないことです。
たとえばAWSでは、Oracle AI Database@AWSとして、OracleのデータベースサービスをAWS内で利用でき、Amazon BedrockやAmazon SageMakerなどのAWSサービスと組み合わせることもできます。
AWSをお使いの方は、AWSのコンソールからAutonomous AI Databaseを作成できます。
Azureでは、Oracle Autonomous AI Database@Azureとして、AzureポータルやAPIから利用でき、MicrosoftのAIサービスやPower BI、Copilot系の活用とつなげやすい形になっています。
このサービスは、Azureデータセンター内でOracleのデータベースサービスが動いています。
Google Cloudでも、同様です。
つまり、これは「どのクラウドを選ぶか」と「どのデータベースを利用するか」を分けて考えられるということです。
すでにAWSやAzureやGoogle Cloudを使っている方にとっては、クラウド基盤を全部変えなくても、データベースだけをより安全で運用しやすい形に寄せることができます。
これはかなり現実的な価値になります。
AI時代のセキュリティでまず困るのは、攻撃までのスピードが速いことです。
今までは脆弱性が公開されても攻撃にいたるまで時間がかかっていたものが、すぐに攻撃される恐れがでてきます。
パッチ適用の遅れはそのままリスクになります。
しかしながら、現場では「パッチが大事なのは分かっているけれど、止められない」「検証が大変」「パッチ適用後の影響が心配」というのが本音だと思います。
実際、このような理由から、導入当初のバージョンのまま使っている環境は少なくありません。
Autonomous AI Databaseの大きな価値の1つは、パッチ適用をデータベース側の自動運用で賄えることです。
Autonomous AI Databaseでは毎週のパッチ適用を前提にしており、しかもオンラインで保守が行われるため、利用者が毎回手作業で更新計画を行う手間を大きく減らせます。
しかもこの考え方は、Oracle Cloudだけのものではありません。
Autonomous AI Databaseの自動化・自律運用は、マルチクラウド展開の中でも利用できます。
つまり、AWSやAzureやGoogle Cloudを使っていても、データベース運用だけは「自動で最新化を保つ」ことができます。
自動的にパッチを適用と聞くと、どうしても「便利そうだけど、本番環境で問題が出たら怖い」と感じます。
これは当然のことかと思います。特に基幹系システムや業務影響の大きいデータベースであれば、慎重になるのは当然です。
その点で、Autonomous AI Databaseがよいのは、自動化と事前検証の両方を持てることです。
検証用環境に本番より1週間早くパッチを適用する「Early patch level」という仕組みを提供しています。
これにより、検証環境で先に結果を確認してから、本番の通常適用を迎えることができます。
さらに、Autonomous AI Databaseで利用可能な「Real Application Testing」を使うと、本番DBのSQLワークロードを取得して、同じものを検証環境で再生することができます。
これにより、性能劣化や回帰の有無を確認できます。
つまり、「なんとなく大丈夫そう」で進めるのではなく、実際のSQL処理を使って前倒し確認することが可能になっています。
セキュリティの話は、どうしても「侵入されないこと」に意識が向きがちです。
もちろんそれは大事です。ですが、最近はそれだけでは不十分です。
本当に大事なのは、万一のときにデータを失わず、確実に戻せることです。
Autonomous AI Databaseでは、暗号化、監査、バックアップなどが標準で組み込まれており「Oracle Data Safe」も活用できます。
Data Safeでは、セキュリティ設定評価、ユーザーリスクの把握、機微データの発見、監査ポリシーの集中管理などが行えます。
AI時代のデータベースセキュリティ対策を考えるとき、大切なのは基本対策を継続して回せる基盤を選ぶことだと思います。
その意味で、Oracle Autonomous AI Databaseには、大きな価値があります。
そしてもう1つ、見逃せないのが、それをOracle Cloudだけでなく、AWS、Azure、Google Cloudでも使えることです。
AIによって攻撃のスピードが上がる時代だからこそ、データベースもまた、自律的に守れる方向へ寄せていくことが必要です。
Oracle Autonomous AI Databaseは、その現実的な1つの解になり得るのではないかと思います。
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