事例紹介

  • キューサイ株式会社 「テレビ通販」後の顧客との
    継続的なコミュニケーションを支える
    コールセンターの平均処理時間を大幅短縮

    ソリューション システム・インフラ構築
    サービス システムインテグレーション
コールセンターにおける1件あたりのAHT(平均処理時間)は、コストに直結する極めて重要な指標だ。コールセンターを運営する企業では、このAHTを1分、1秒でも短縮すべく、日々さまざまな工夫と改善に取り組んでいる。こうした課題に対して、ヘルスケア・スキンケア・医薬品などの事業を展開するキューサイは、専用の受電フロントシステムをスクラッチ開発することで、オペレーターの負担を軽減し、業務効率を飛躍的に向上させることに成功した。
  • 導入前の課題

    • ・電話1件あたりの平均処理時間は10分以上。
    • ・コールセンター業務の外注費が増大。
    • ・販売管理システムをコールセンターに展開しており操作が複雑。
  • 導入後の効果

    • ・コールセンター専用の受電フロントシステムを短期構築。
    • ・電話対応の後処理にかかる時間を大幅に短縮。
    • ・レコメンド機能の搭載によりクロスセルを強化。

クロスセル拡大を目指すも後処理の効率性が課題に

1982年から販売を始めたケール青汁で、全国的に知名度を高めたキューサイ。現在はヘルスケアやスキンケア、医薬品など領域にも事業を広げ、スキンケア製品の「Cola・rich(コラリッチ)」シリーズや、膝関節の曲げ伸ばしを助ける機能性表示食品の「ひざサポートコラーゲン」など、数多くの価値ある商品を世に送り出している。
そんなキューサイの売上の多くの割合を占めているのがテレビ通販であり、顧客との継続的なコミュニケーションを通じて、商品の追加注文や関連商品のクロスセルを拡大している。しかし、この“必勝パターン”の中にも大きな課題を抱えていた。
同社 オペレーション本部 カスタマーサービス部 カスタマーサービス企画課長 兼 コンタクトセンター運用課長の松田 耕一郎氏は、「お客様からのお問い合わせや、商品の追加注文などを専用フリーダイヤルのコールセンターで承っていますが、お客様一人あたりのAHT(Average Handling Time:平均処理時間)に10分近く時間を要していました。内訳を見てみると、実際にお客様と会話しているのは5分程度なのですが、お受けした内容をシステムに入力する際の後処理にも5分以上かかっています。一般的なコールセンターと比べて、非常に効率が悪い運用状況にありました」と振り返る。
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キューサイ株式会社 オペレーション本部 カスタマーサービス部 カスタマーサービス企画課長 兼 コンタクトセンター運用課長 松田 耕一郎 氏
AHTが長時間化するほど、1人のオペレーターが営業時間内に対応できる件数が少なくなるため、オペレーターの人数を増やさなければならず、ひいてはコールセンター業務を委託している事業者への外注費が増大していくという悪循環に陥ってしまうおそれがあった。

DCRの熱意と最適な提案力がパートナー選定の決め手に

キューサイのコールセンターでは、なぜAHTの中でも特に後処理に時間を要していたのだろうか。同社 オペレーション本部 カスタマーサービス部 カスタマーサクセス課長の 藤川 文氏は、その原因を次のように語る。
「スクラッチ開発した販売管理システムをそのままコールセンターに展開し、オペレーターにデータ入力を任せていました。この販売管理システムは商品の受注から発送まで幅広い業務プロセスを担っており、機能が豊富で操作も非常に複雑です。しかも基幹システムの一環であるだけに誤入力は許されず、SV(スーパーバイザー)によるダブルチェックも欠かせません。こうしたことから後処理を短縮したいと考えても、現場の努力による改善には限界がありました」
そこで2022年7月、キューサイはコールセンター業務を抜本的に改善すべく、販売管理システムから独立した受電フロントシステムの構築に乗り出した。
「当時の中期経営計画のもと、CRM強化をはじめとするDXに向けた機運が全社的に高まっていました。この流れにも乗る形で、コールセンターの現場がよりシンプルかつ快適に利用できる専用システムを展開することに決めました」 (松田氏)
そしてキューサイは、この受電フロントシステムの構築プロジェクトをともに推進していくパートナーとして第一コンピュータリソース(DCR)を選定するに至った。
もっとも、このベンダー選定のプロセスにも紆余曲折があった。同社 IT事業本部 情報システム部 グループリーダーの中村 理沙氏は、「20社近いベンダーに対してRFP(提案依頼書)を投げかけたのですが、パッケージ製品の改修ではなくスクラッチ開発を想定した当社の要件に応えてくれたのは、わずか2社しかありませんでした」と語る。
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キューサイ株式会社 IT事業本部 情報システム部 グループリーダー 中村 理沙 氏
この2社の中から結果的にDCRを選んだわけだが、最後の決め手となった理由はエンジニアの“人間力”にあったという。
「できるだけ短期間で新システムを稼働させたいと望んだ私たちに対して、DCRは難色を示すことなく『なんとしても実現しましょう』と言ってくれました。また、当社のコールセンター業務を徹底的に理解しようとする姿勢を心強く感じました」(松田氏)

顧客との応対時間を変えずに後処理を5分→2分30秒に短縮

実際にキューサイとDCRは緊密なタッグを組み、実質わずか1年余りの短期間で構築プロジェクトを完遂している。
「新規に開発した画面は約30種に及び、両社の打合せは夜中まで及ぶこともありました。作成したモックアップを委託先のコールセンター事業者に提示し、返ってきた意見や要望を反映して修正を繰り返すなど苦労もありましたが、 その甲斐あって現場のオペレーターにも高く満足してもらえる新システムを実現できました」 (藤川氏)
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キューサイ株式会社 オペレーション本部 カスタマーサービス部 カスタマーサクセス課長 藤川 文 氏
こうして2024年2月より本番稼働を開始した受電フロントシステムは「QUBE(キューブ)」と名付けられ、多くの成果をもたらしている。
「約10分を要していたAHTは、QUBEの稼働開始から1年4か月が過ぎた2025年6月現在、約7分30秒にまで短縮されています。この数値は一般的なコールセンターの実績と比べても、決して見劣りしないどころか、むしろより高効率に運営されていることを示しています」(松田氏)
注目すべきはAHTの内訳だ。オペレーターが顧客と会話している時間は約5分で、従前とほとんど変わらない。要するに劇的な変化をもたらしたのは主に後処理の部分での時間短縮であり、従前の5分から2分30秒へと半減させている。
「結果としてAHTをトータルで25%短縮したことで、ほぼ同じ割合でオペレーターの人数が最適化されています。これによるコスト削減効果は絶大で、経営層からも高い評価をいただきました」(松田氏)
また今回のプロジェクトを通してDCRのサポートについて次のように評価する。
「構築プロジェクトが長期に及ぶことが予想される以上、ベンダーには技術力や保守体制以上に、高いコミュニケーション能力が求められます。そこでDCRには、クライアントとベンダーという枠を超えて、ビジネスパートナーとして“一体感”を持ってプロジェクトを推進する姿勢を期待しました。その期待に応える形で、DCRは常にユーザーである私たちと同じ視点に立ち、システム構築から運用・保守に至るまで、一貫したサポートを提供してくれました。こうしたDCRの継続的な支援があったからこそ、現在の安定稼働が実現できていると考えています」(松田氏)

クロスセルの成約率向上に向け“攻め”の機能を拡充していく

コールセンター業務を効率化するだけでなく、QUBEには従来の販売管理システムにはなかった機能も搭載されている。
「レコメンド機能もその1つで、お客様ごとの属性や履歴から分析されたお勧め商品をオペレーターの画面に表示することで、クロスセルの成約率を高めています」(藤川氏)
そして今後に向けても、こうした“攻め”の機能の拡充を図っていく考えだ。
「AHTをさらに短縮しようとすると、お客様との会話時間を削らざるを得なくなり、サービス品質の低下を招くなどデメリットのほうが大きくなってしまいます。したがって次のステップで目指すのは、LTV(顧客生涯価値)向上への貢献です。これを実現すべく、現行PBX(構内交換機)のリプレースを計画しており、これに伴い必要となるQUBEの接続部分の改修にあわせて、新機能を検討していきます」(松田氏)
現在はIT部門に異動した中村氏も、「将来的には販売管理システムとより疎結合な形で連携できるシステムアーキテクチャーを採用することで、QUBEの機能拡張の自由度を高めていければと考えています」と語っており、キューサイの全社的な後押しとDCRの継続的なサポートを受けながら、QUBEは進化を続けていくことになりそうだ。

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