事例紹介

  • 豊鋼材工業株式会社 約30年にわたる基幹システムの
    ブラックボックスを解き明かし、
    内製での持続的な開発・運用・保守体制を確立

    ソリューション プロダクトソリューション
    サービス X-Analysis
鋼板加工のトータルコーディネーターである豊鋼材工業の基幹システムは、IBM i(旧AS/400)上で内製開発され、約30年にわたって運用されてきた。ただ、そこで静かに進行したのが、システムのブラックボックス化である。RPGで記述されたソースコードを解析する「X-Analysis」(現・X-Analysis AI)を活用することで、この課題を解決。属人化した資産の可視化と内製体制の再構築に取り組んでいる。
  • 導入前の課題

    • ・長年にわたり改修を重ねてきたことで基幹システムがブラックボックス化
    • ・ベテラン技術者の退職をきっかけに、運用・保守の属人化リスクが顕在化
    • ・ドキュメント不足により、後継者への技術継承が困難
  • 導入後の効果

    • ・既存資産を可視化し、ブラックボックス化と属人化を解消
    • ・プログラム改修時の事前調査工数を大幅に削減
    • ・プログラム改修の質を向上し、経営リスクの低減に寄与

ベテラン技術者の退職問題で基幹システムの運用継続が困難に

1958年に鋼板剪断(シャーリング)の専業メーカーとして創業した豊鋼材工業。以来、建設・自動車・船舶など、あらゆる産業分野に鉄鋼加工品を供給している。素材の入荷から一次加工(レベラー、スリッター、ショットプライマー、オートシャー、溶断、開先加工など)、二次加工(溶接H形鋼加工、ベンディング加工、トンネル用鋼製支保工加工、冷間プレス成形角形鋼管加工など)まで、自社工場で一貫対応。「鋼板加工のトータルコーディネーター」として事業を拡大してきた。

この業務を長年支えてきたのが、IBM i(旧AS/400)をOSとするホスト上でRPGを用いて独自開発した基幹システムだ。約30年前に作られたこの基幹システムだが、現在でも継承されているプログラムも数多く存在し、内製で開発・運用・保守が続けられている。

同社 情報システム室長の藤野 親生氏は、「鋼材加工という業務の特性上、汎用的なERPパッケージでは収まりきらない特殊な要件が少なくありません。したがって給与計算や固定資産管理など企業固有性の低い領域を除き、基幹システムについては今後も独自システムとして維持していく考えです」と基本方針を示す。

フロント側にDelphi/400で開発したサブシステムを配置し、PCに加えてスマートフォンやタブレットからの参照にも対応するなど、UI/UXのモダナイズも進めてきた。だが、この長期にわたる運用の水面下で、深刻な課題が進行していたのも事実である。引き金となったのは、ベテラン技術者の退職という問題だ。

「継ぎ接ぎ的な改修・拡張を続けながらIBM i(旧AS/400)資産は運用されてきたのですが、十分なドキュメントも残されておらず、後継者への継承が困難な状況でした」(藤野氏)
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豊鋼材工業株式会社 情報システム室長 藤野 親生 氏

X-Analysisを活用し、基幹システムの構造を把握

ブラックボックス状態の基幹システムを使い続けることは、経営上も看過できないリスクであり、同社は属人化の解消に向けて早くから動いてきた。転機となったのは、2016年におけるIBM i(旧AS/400)アプリケーション資産解析ソリューション「X-Analysis」(現・X-Analysis AI)の導入だ。

「主導したのは前任の情報システム室長ですが、IBMマーケットビジネスに携わるIT企業の業界団体UOSグループが主催する展示会で第一コンピュータリソース(DCR)と出会い、当時のX-Analysisのデモを体験し、『こんなツールが欲しかった!』と導入を即断したと聞いています」(藤野氏)

そして藤野氏が入社した2018年以降、X-Analysisの活用が本格化した。

「既存のRPGプログラムを改修する際、関連するデータベースのどのフィールドを参照しているのか、最初に洗い出しておかないと手を付けることができません。X-Analysisを使えば、この調査を容易に行うことができます。さらに、プログラム間の依存関係や業務フローなどの構造を可視化できるため、改修の影響範囲を事前に把握できるようになりました」(藤野氏)

ただし、苦労がなかったわけではない。同社が保有するソースコードやオブジェクトの対象資産は5,000〜6,000本に及ぶ。そのため、基幹システム全体の構造を洗い出して可視化するという目的は明確であっても、実行にはかなりの時間と労力を要した。この過程で支えとなったのが、DCRのサポートだった。

「マニュアルを紐解いてもよくわからない不明点も多々ありましたが、DCRの窓口に問い合わせることで理解を深めることができました。また、これまで数回実施したX-AnalysisのバージョンアップもDCRのサポートのおかげで問題なく完了し、さまざまな新機能をスムーズに取り込むことができました」(藤野氏)

こうして同社はX-Analysisの習熟度を高め、 定着を進めてきたのである。

可視化と影響分析により、改修工数の削減と品質向上を実現

X-Analysisが持つ「可視化と洞察」「影響分析」「診断と棚卸」といった機能をフル活用することで、得られた効果は明確だ。ブラックボックス状態にあった既存資産の解析が進み、ひいてはメンテナンスの属人化もほぼ解消された。

とりわけ大きいのが、大規模なプログラム改修に際しての調査工数の圧縮だ。ミッションクリティカルな基幹システムの改修では、関連するソースコードを洗い出し、影響範囲を見定め、テストを経てリリースするまでに長い期間を要する。仮に全面的な改修を手作業で行うとなれば、数年がかりのプロジェクトとなるケースも珍しくない。

「ソースコードの書き換えそのものは現状では人手に頼らざるを得ませんが、最も負担の重い事前調査がX-Analysisによって自動化されるメリットは絶大です。肌感覚ではありますが、工数は1/3以下に削減されると思われます」(藤野氏)

さらに効果は、単なる時間短縮だけにとどまらない。プログラムの品質向上を通じて経営リスク低減にも大きく寄与するのである。

「コーディングミスに起因するバグは比較的発見しやすいのですが、そもそもロジックに潜んでいる不具合による影響はなかなか特定できず、事業に想定外の影響を及ぼすおそれがあります。X-Analysisはプログラムの中身そのものを解析し、影響範囲や詳細仕様に関わるロジックや数式、変数を特定することで事前調査の抜け漏れをなくし、システムの信頼性を高めてくれます」(藤野氏)

次世代への継承を見据え、基幹システムのモダナイズを推進

同社が次のステップとして見据えているのは、基幹システムの開発・運用・保守体制の次世代への継承である。その布石として、現行のRPGⅢからフリーフォームRPGへの移行に着手した。

「既存のソースコードをよりオープン系言語(Java、PHP、Pythonなど)に近いフリーフォームRPGに書き換えることで、若い世代のプログラマーでも容易に扱えるよう可読性を高めることが目的です」(藤野氏)

ただし、すべてのソースコードを対象としているわけではない。影響度の大きい大規模プログラムや、安定して稼働し続けているレガシー資産については、あえて手を加えずそのまま残す判断もしているという。メリハリの効いた移行を通じて、同社は基幹システムの着実かつ効率的なモダナイズを進めていこうとしているのである。こうした場面でも、X-Analysisは非常に有効に機能する。

「RPGⅢからフリーフォームRPGに変わってもデータベースは共通であり、X-AnalysisもまたRPGのバージョンを問わず、オブジェクトとソースコードの双方を解析することが可能です。プログラムの中身をわかりやすいチャートやフローなどで表現するため、昨今のオープン系の技術者に対しても、システム構成や仕様を理解するためにかける時間を大幅に短縮することができます」(藤野氏)

同社はX-Analysisを最大限に活用することで、重要な基幹システムをDXにつながる経営資源へと発展させていく考えだ。

※掲載内容は取材当時の情報です。

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