コラム

AWS re:Invent 2025 参加レポート

AWS re:Inventの看板

こんにちは。和歌山LABOの九鬼です。
2025年12月1日〜12月4日の4日間、米国ラスベガスで開催された『AWS re:Invent 2025』に、弊社から5名で参加しました。
今年は、世界中から6万人以上が現地に集まり、オンライン視聴者を含めると総参加者数は約200万人にのぼる、過去最大級の規模となりました。現地の熱気あふれる雰囲気や、各種セッションで得られた最新の技術動向・学びを振り返りながら、皆さまにもその内容をご紹介したいと思います。

AWS re:Inventとは?

AWS re:Inventは、Amazon Web Servicesが毎年ラスベガスで開催する世界最大級のクラウドカンファレンスです。数万人規模の参加者が集まり、最新サービスの発表、技術セッション、ハンズオン、ネットワーキングが行われます。クラウド業界の未来を示す場として、企業やエンジニアにとって重要なイベントです。

現地の様子

▼ ベネチアン(メイン会場) / APJ on Tour Kick Off Party

ベネチアン(メイン会場)・APJ on Tour Kick Off Party

▼ スポーツフォーラム / 5k run

スポーツフォーラム・5k run

▼ EXPO

本イベントのスポンサー企業のブースが並ぶ大規模な会場。

▼ Japan Warp-up Session

AWS re:Invent 2025のハイライトを日本視点で振り返るセッション。

Japan Warp-up Session

▼ re:Play / (おまけ)Amazonの自動運転車

re:Play・(おまけ)Amazonの自動運転車

re:Invent主要テーマ

キーノートを含め、3つの会場で3,000以上のセッションが開催されました。
4つの主要テーマ(Generative AI、Serverless、Security、Hybrid Cloud & Edge)に加え、新サービスや新機能(Bedrock Agents、次世代AIチップ、Outpostsの拡張など)が整理されています。

AWS re:Invent 2025主要テーマ

キーノートの主要ハイライト

キーノート

今年のre:Inventは、AWSが「AIを前提としたクラウド」を明確に打ち出し、AIモデル → エージェント → 専用インフラ → モダナイゼーションというフルスタック戦略を提示するなど、AIとクラウドの進化を強く感じる内容でした。

キーノートの発表が進むたびに会場には大きな拍手が響き渡り、今後の10年を語る熱気が会場全体を包み込んでいました。
Expo会場では、AI FactoriesやTrainium3のデモに人だかりができ、参加者が次々と質問を投げかける姿があちこちで見られました。まるで新しいデータセンターを覗いているような感覚でした。
さらに、コード修正を自律的に行うデモでは「マジで人間いらないじゃん!」と笑いながら驚く声も多く、私自身もAIの進化に圧倒されました。
また、各セッション終了後廊下を歩く中で、AIや新しいCPUを使ったサーバについて、熱心に語り合う参加者が目立ちました。

今回のre:Invent2025は、単なるカンファレンスやデモにとどまらず、今後のサービス利用の新しい仕組み作りの一つだと感じました。

(1) 生成AIの進化とAmazon Bedrock

AWSは生成AIの分野で大きなアップデートを発表。Amazon Bedrockに新しいモデルや機能が追加され、企業はカスタムAIの構築・運用がさらに容易に。特にマルチモーダル対応やエージェント機能が注目。

(2) Amazon Qの進化

AWSのAIアシスタント「Amazon Q」がより高度な機能を搭載し、開発者や運用チーム向けにコード生成、トラブルシューティング、クラウド構成の最適化などをサポート。

(3) サーバーレスの拡張

Lambdaのパフォーマンス改善とコスト最適化機能が追加。さらに、AuroraやRedshiftなどのデータベースサービスでサーバーレスオプションが強化され、スケーリングがより柔軟に。

(4) セキュリティとガバナンス

新しいセキュリティサービスや機能が発表され、AIを活用した脅威検知やコンプライアンス自動化が可能に。

(5) 新サービス・アップデート

■ Amazon Bedrock Agents
エージェント型AIを簡単に構築できる新機能。業務プロセスの自動化やカスタムワークフローに対応。
■ AWS Trainium & Inferentiaの次世代チップ
AIモデルのトレーニングと推論を高速化する新しいハードウェアが発表され、コスト効率も改善。

(6) データサービスの強化

Amazon S3におけるデータ管理機能の進化、RedshiftのAI統合によるクエリ最適化など。

(7) 注目トレンド

■ 生成AI × エンタープライズ活用
エージェント型AIを簡単に構築できる新機能。業務プロセスの自動化やカスタムワークフローに対応。
■ ハイブリッドクラウドとエッジ
AWS OutpostsやLocal Zonesの拡張で、オンプレミスとクラウドの統合がさらに進化。

新サービス発表まとめ

カンファレンス

今回の発表はAI関連の内容が圧倒的に多く、発表の中心を占めていました。
生成AIなどで発生するデータを効率よく蓄積・処理するために、インフラやコンピュートといったハード面から、ストレージ・データベースなどの基盤領域まで幅広く強化してきた点も印象的で、AI時代に向けた本気度が強く伝わってくる内容でした。

(1) AI関連サービス

■ Nova 2 Lite / Pro / Sonic / Omni
高速推論、音声対応、マルチモーダル(テキスト・画像・音声・動画)モデルを提供。
■ Amazon Nova Forge
企業独自データで基盤モデルを再トレーニング可能。RAGやFine-tuningより深い統合を実現。
■ AWS AI Factories
企業専用のAIインフラゾーンをAWS内に構築。TrainiumやGPUを占有利用可能。
■ Amazon Bedrockアップデート
新たに18モデル追加(Google Gemma、NVIDIA Nemotron、Mistral Largeなど)。

(2) 自律型AIエージェント(Agentic AI)

■ Frontier Agents(3種類)
・Kiro Autonomous Agent:コード修正・新機能追加・依存関係更新を自律実行。
・AWS Security Agent:脆弱性診断、ペネトレーションテスト、修正コード生成。
・AWS DevOps Agent:障害調査、ログ解析、修正案提示。
■ Agent Core強化
・Policy in AgentCore:自然言語でエージェントの行動制御。
・AgentCore Evaluations:品質評価とスコアリング。

(3) インフラ・コンピュート

■ Trainium3 / Trainium4:AI学習用チップの新世代。性能4倍、電力効率40%向上。
■ Amazon EC2 Trn3 UltraServers:大規模分散トレーニング向け。
■ Amazon EC2 P6e-GB300 UltraServers:NVIDIA GB300 NVL72搭載。
■ Lambda Durable Functions:長時間実行・一時停止/再開が可能なLambda。

(4) ストレージ・データベース

■ Amazon S3拡張:最大オブジェクトサイズ50TB、S3 Batch 10倍高速化、S3 Vectors正式リリース。
■ Database Savings Plans:RDS/Aurora/DynamoDBで最大35%コスト削減。
■ RDS拡張:SQL Server/Oracleの最大ストレージ容量を256TBに。

(5) 開発・モダナイゼーション

■ Transform Custom:企業固有のレガシーコードをAIで自動変換。(例:VBA→Python、Angular→React)
■ AWS Lambda Managed Instances:LambdaをEC2リソース上で実行可能。

(6) セキュリティ・ネットワーク

■ Amazon Route 53 Global Resolver(プレビュー):安全なAnycast DNS解決。
■ IAM Policy Autopilot:コード解析でIAMポリシーを自動生成。

改めてAWSとは?

AWSについて

AWS(Amazon Web Services)とは、アマゾンが提供するクラウドコンピューティングサービスです。
自社でサーバやデータセンターを運用する代わりに、インターネット経由で様々なITインフラを利用できるサービスです。

例えば、Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloudの略)はAWSが提供する「仮想サーバサービス」です。
Amazon EC2を利用することで、従来のような物理サーバの構築や環境構築作業をすることなく、手軽に仮想サーバを用意することができます。
Amazon S3は、業界最高水準のスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。Amazon S3を利用すれば大容量のストレージを利用できます。
その他にもデータベースや機械学習、分析など、ITインフラのほぼ全てをオンラインで利用可能です。

AWSクラウドの代表的なメリット

AWSクラウドの代表的なメリットをいくつか上げてみます。

■柔軟性と拡張性(スケーラビリティ)
必要なタイミングで必要なだけリソースを利用でき、アクセス急増時も自動でスケール可能です。
近年は AI ワークロードの増加に対応するため、GPU ベースのコンピュートや分散処理基盤が強化され、大規模・高負荷システムでも安定した運用がしやすくなっています。

■コスト効率
従量課金モデルが基本であり、実際に使用したリソースに対してのみ課金されるので、無駄なコストを削減できます。

■豊富なサービスと機能の進化
AWSは多岐にわたるサービスを提供しており、コンピューティング、データベース、ストレージ、AI/生成AI、分析、セキュリティなど、サービスの幅が非常に広いのが特徴です。
特に近年は、生成AI(Amazon Bedrock)やAIエージェント、データ活用基盤が急速に強化され、企業がAIを前提としたアーキテクチャを構築しやすくなっています。

DCRのAWS導入支援サービス

DCRは、お客様のお悩みに合わせたAWS導入支援サービス提供で課題解決いたします。
クラウド検討から、クラウド環境の構築、システムのクラウド移行、クラウド環境で重要となる運用設計・運用環境の構築を含め、トータルでご支援いたします。

詳しくは、下記フォームより「AWS導入支援サービス」資料をダウンロードください。
導入事例もご紹介しておりますので、ぜひ事例をご参考のうえ、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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