事例紹介

  • 株式会社神戸物産 長きにわたりスクラッチ開発してきた
    基幹システムを再構築
    業務スーパーの本部運営業務を抜本的に改善

    ソリューション システム・インフラ構築
    サービス システムインテグレーション
全国に1,000店舗を超える「業務スーパー」を展開する神戸物産は、機能追加を繰り返しながら運用してきた基幹システムを、第一コンピュータリソース(DCR)とともに全面的に再構築。さまざまな業務における工数削減や、紙で行っていた申請・承認プロセスのワークフロー化など多くの成果を上げている。
  • 導入前の課題

    • ・2000年代前半にスクラッチ開発した基幹システムは拡張性に限界が来ていた。
    • ・システムの動作が不安定でレスポンスも低下していた。
    • ・紙ベースで承認・申請プロセスを回しており、時間と手間がかかっていた。
  • 導入後の効果

    • ・柔軟かつ迅速な機能追加を行えるシステムの拡張性を確保。
    • ・出荷確定の処理時間を1/6に削減。
    • ・複数の部門にまたがる承認・申請プロセスをシステム内で完結。

業務スーパーの店舗が急拡大する中、システムの拡張が限界に達する

1985年の設立以来、「良い物をより安く」をモットーに、「食の製販一体体制」の拡大に注力してきた神戸物産。主力事業である「業務スーパー」は、2021年に全国47都道府県のすべてに出店を遂げ、2022年には 1,000店舗の展開を達成し、以降も拡大を続けている。さらに、焼肉食べ放題&デザートビュッフェの「プレミアムカルビ」や、店内手作りの惣菜や弁当を手頃な価格で販売する「馳走菜(ちそうな)」など、外食・中食事業への多角化にも積極的だ。
ただ、そんな同社の成長戦略の障壁となりつつあったのが、高速開発ツールをベースにスクラッチ開発された基幹システムである。同社 システム部 システム運用課 課長の笠井 稔朗氏はこう語る。
「当社が基幹システムの構築を始めたのは、業務スーパーがまだ数十店舗程度だった2000年代前半からで、店舗管理や販売管理、出荷管理などの機能を順次整備してきました。その後も店舗の急拡大にあわせて新機能や追加や改修を行ってきたため、システムの拡張性が限界を迎えていました」
同社 システム部 システム運用 課長代理の沼田 祐児氏は、このように続ける。
「システムの動作が不安定になり、レスポンスも低下していました。まれなケースではありますが、朝出勤してシステムを確認すると夜間処理が途中で停止しており、リカバリーのために業務現場に負担をかけてしまったこともありました」

新機能の追加要求に柔軟かつ迅速に対応できる基幹システムを整えたい

上記のような問題を解決すべく、同社が基幹システム再構築に動きだしたのは2019年8月のことである。業務スーパーの店舗数はすでに800以上に達しており、既存の基幹システムはもはや限界を超えていると判断された。
「まずは透明度が高く拡張性にも優れた基盤をしっかり築きます。そのうえで、現行の主要機能を移し替えてカバーするとともに、新機能の追加要求にも柔軟かつ迅速に対応できる基幹システムを整えたいと考えました」(笠井氏)
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株式会社神戸物産 システム部 システム運用課 課長 笠井 稔朗 氏
もっともシステム部内に潤沢なリソースを擁した開発体制があるわけではなく、同社は二人三脚でプロジェクトを推進していく伴走パートナーを探し求めた。そうした中で出会ったのがDCRである。
「実は先立って別のベンダーにも打診したのですが、私たちの要求レベルを満たす開発体制を持っておらず破談となったこともありました。しかし、DCRは最初の打ち合わせの段階から『新たな言語にC#を利用して基盤をゼロから作り替える』という明確な方針のもと、基幹システム再構築に前向きな姿勢を示してくれたため、とても心強く感じ、開発パートナーとして選定することにしました。また、長年にわたるSIerとしての実績と層の厚い技術者といった企業力も、選定の決め手となったポイントの1つです」 (笠井氏)

苦労を乗り越えて再構築を完遂 あらゆる業務の効率化を実現

実際、今回のプロジェクトが困難を極めることは誰の目にも明らかだった。例えば 通常のシステム再構築であれば、現行システムの機能をいったん“凍結”して要件定義 を行い、仕様を確定したうえで新システムの開発に取り掛かる。
ところが同社の基幹システム再構築では、この方法をとることができなかった。新システムを検討している間にも、業務スーパーの店舗数はどんどん拡大しており、経営陣や業務サイドから寄せられるさまざまな要求に応える必要があり、機能拡張や改修を止めることができなかったのだ。要するに新システムの開発を進めつつ、現行システムで行われた機能追加や仕様変更を巻き取っていかなければならない。
さらに同社の基幹システムは、さまざまな周辺システムとも連携して業務処理を担っており、ハブとしての機能も維持してい かなければならない。
「DCRにはプロジェクト全般を通して大変な負担を強いることになってしまいましたが、そんな苦労も厭わず私たちを支え続けてくれました。仮にDCRと手を組んでいなかったとしたら、このプロジェクトを成し遂げることはできなかったと思います」(沼田氏)
多くの苦労を乗り越えて完成した新基幹システムは、2023年5月に本番稼働を開始。現在も安定した稼働を続けている。そうした中で、現場の業務にも大きな効果があらわれている。出荷確定のスピードアップもその1つだ。
「出荷確定とは、簡単に言えば各店舗からの発注依頼に対して在庫を引き当て、出荷数量を確定する処理を指します。旧システムでは倉庫管理などの作業に1時間程度を要していましたが、新システムになってからは基盤自体のパフォーマンスが向上したことで10分程度にまで作業時間を短縮できるようになりました」(沼田氏)
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株式会社神戸物産 システム部 システム運用課 課長代理 沼田 祐児 氏
さらに、同社 システム部 システム運用課 主任の荻野 純司氏が強調するのは、新システムで初めて実装されたワークフロー機能による業務改善効果である。
「基幹システムが担っている業務の中には、承認-申請の手続きを経なければならないものも多いのですが、機能追加をし続けてきた旧システムでは機能間の連携が不十分だったことから、いったん紙に印刷してから承認に回さなければならないケースが多々ありました。ワークフロー機能を実装した新システムが稼働してからは、こうした非効率な作業からすっかり解放されています。異なる部門の複数の担当者や責任者をまたいだ承認-申請のプロセスを、すべてシステム内で完結できるようになりました」
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株式会社神戸物産 システム部 システム運用課 主任 荻野 純司 氏

店舗や取引先の業務改善を実現する発注支援システムの開発に着手

このように数々の成果を上げてきた新基幹システムだが、同社の取り組みはこれで終わりではない。「ここまで再構築を進めてきた基幹システムは、当社内のスムーズな業務遂行を担うものでした。次のステップとしては店舗や取引先の業務改善を進めていく必要があり、第一弾として2025年2月のリリースを目指した発注支援システムの開発を進めています」と笠井氏は語っており、今後もDCRとの二人三脚がしばらく続くことになりそうだ。

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