事例紹介

  • 北日本コンピューターサービス株式会社 一元管理した設計書からコードを自動生成 カスタマイズや新規開発時の生産性が向上

    ソリューション プロダクトソリューション
    サービス システム設計ツール「VSSD」、
    ローコード開発ツール「VSAG」
北日本コンピューターサービス株式会社では、従来Accessで開発していた地方自治体向け滞納管理システムのウェブ化を決定。それにあたり、システム設計ツール「Verasym System Designer」、プログラム自動生成ツール「Verasym Application Generator」を採用し、設計書を一元管理しソースコードを自動生成できる体制を整えた。これにより、4年間で50以上の滞納管理システムを構築。新規開発や修正時の生産性向上、開発者のスキルに依存しない設計・開発プロセスを実現している。
  • 導入前の課題

    • ・元の設計書がどこにあるのかが分からないなど、設計書の保管・管理が行き届いていなかった。
    • ・開発が属人化してしまい、引き継ぎの際に知識やスキルを継承するのが難しかった。
  • 導入後の効果

    • ・VSSDに設計書を一元管理することで、誰もがシステムの全体像をすばやく把握できるようになり、設計書の標準化が進んだ。
    • ・VSAGでソースコードを自動生成できるようになり、JavaやHTMLの詳細な知識がなくても高品質なシステム開発が可能になった。
    • ・新規開発やカスタマイズの際、同じような機能を追加する場合、すでに登録してある処理を再利用できるようになり、開発生産性が向上した。

地方自治体向けの福祉関連システムなどを"三位一体"で提供

秋田市を拠点とする北日本コンピューターサービスは、全国の地方自治体向けに生活保護システム、障がい者福祉システムなどの開発、販売、サポートを三位一体で提供している。2016年7月には、関連会社である秋田情報センターのシステム事業を統合。同センターが展開していた滞納管理システムを引き継いで、事業を再編・強化した。これにより同社のシステムは、延べ1000を超える地方自治体で利用されることとなっている。

主力事業のひとつである地方自治体向け滞納管理システムは、税金を滞納している納税者の管理と徴収業務の円滑化を支援するための業務システムである。滞納者監視機能や滞納者管理業務、分納管理業務、催告業務、実態調査/滞納処分業務、統計・分析機能など、効率的な作業改善とより効果的な業務運用をサポートする。

この滞納管理システムは、従来MicrosoftAccessで開発されていたが、2012年にウェブ版を開発することを決定。その際に開発パートナーとして選ばれたのが、第一コンピュータリソース(以下、DCR)だった。DCRでは、設計プロセスの標準化が開発生産性向上や品質向上につながるという考えのもと、自社開発したシステム設計ツール「Verasym System Designer」(以下、VSSD)を活用することを提案した。

「長年にわたって改変が行われてきたことから、設計書の保管や管理が行き届いていませんでした。設計書が更新されず、ソースコードとの一貫性が保たれていない状況になっていたのです。ウェブ版の開発を機に、設計書の管理をVSSDで一元化することで、つねに設計書を最新の状態に保つようにしようと考えました」と語るのは、滞納管理ソリューション部 プロダクトサービス課 課長代理の佐藤正隆氏だ。

VSSDとVSAGによって属人化を排した設計・開発プロセスを確立

VSSDを活用したウェブ版の設計・開発は、2013年4月からスタートした。北日本コンピューターサービスの開発者がVSSDで基本設計書を作成し、それをDCRが引き継いで詳細設計書を作成するという流れで進められた。

開発に際してVSSDとともに活用されたのが、オプション製品で当時開発中だった「Verasym Application Generator for JavaWeb」( 以下、VSAG)だ。VSAGを使用することで、VSSDの設計情報からプログラムを自動生成することが可能になり、コーディングの量を大幅に削減できる。入社して間がなくHTMLやCSSの詳しい知識がなくても、簡単にウェブの画面を作成できるようになる。また、「Verasym Application Generator for SVF」により、ウイングアーク1st社の帳票システム「SVF」に対応するソースの自動生成も行えるようにした。

2014年3月にウェブ版の滞納管理システムの標準タイプが完成。これにより、設計・開発プロセスは大きく変化した。

「新規に滞納管理システムを開発する際には、標準タイプの設計書をベースにして各自治体独自でカスタマイズする部分をVSSD上で変更を加え、VSAGでソースコードを生成します。プログラムを修正するときは、必ずVSSDで設計書を修正するということをルール化しました。Javaに熟練した開発者からは『直接プログラムを変更した方が速い』という声もあがってきましたが、これが"本来あるべき設計・開発の流れ"だと納得してくれました」と、佐藤氏は話す。

全体像を素早く把握 コードの自動生成により開発生産性が向上

滞納管理ソリューション部 プロダクトサービス課 係長である藤田周平氏は、「設計書がつねに最新の状態に保たれていることで、以前は開発担当者にしか分からなかったことも、VSSDを見るだけで誰もが全体像を素早く把握できるようになりました。わざわざコードを見なくても、設計書上で仕様を追えば動きが分かるようになったのです。最新の正しい設計情報を持つことの重要性を再認識しています」と話す。

また、開発メンバーの経験に依存することなく、誰もが安定した品質の開発ができるようになったことも大きなメリットになっている。

滞納管理ソリューション部 プロダクトサービス課の高橋廣氏は、「全員がJavaやHTMLに関して高いスキルを持っているわけではありません。コードを1から記述すると膨大な時間がかかってしまいますが、VSSDとVSAGを連携して使うことで時間を短縮でき開発生産性が向上したと感じています。過去に作成したのと同様の処理を、他の地方自治体で利用する場合にも、すでに登録してある処理を参照したり再利用したりできます」と、知識やスキルの継承にも役立っていると話す。

設計・開発プロセスに、"なくてはならない存在"として部内に定着

VSSDとVSAGの導入から4年。2018年3月時点で、滞納管理システムを利用している約160の地方自治体のうち、導入作業中も含め既に50を超える自治体がウェブ版の滞納管理システムを導入している。

導入当初は4名の開発メンバーが利用していたVSSDとVSAGは、現在では約20名いる開発メンバーのすべてが利用するようになり、「設計・開発に"なくてはならない存在"」(藤田氏)というまでに部内で定着している。

今後について佐藤氏は、「現在、VSSDの設計情報からモックアップを自動生成する『モックアップ機能』を、別の部署に横展開するための検証を行っています。顧客先でモックアップを作成し、その場で確認してもらうことで業務を効率化しようという考えからです。これからも、さらなる機能アップで、より使いやすいツールにしてほしいです」とDCRへの期待を語ってくれた。

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