コラム

オフショア開発とは?動向やメリット・デメリットを解説

IT業界において、「オフショア開発」はしばしば耳にする言葉です。企業によっては、既に取り入れていたり検討に上がっていたりするかもしれません。オフショア開発は、コストメリットがある一方、まだまだ課題も多いのが現実です。さらに、昨今のオフショア開発はコストメリットだけではない理由で導入を決める企業も増えてきています。オフショア開発とはそもそもどういった意味なのか。そして、オフショア開発は今後どのように発展していき、どのようなメリットをもたらせてくれるのでしょうか。
今回の記事では、オフショア開発の動向やメリット・デメリットについて解説します。

オフショア開発とは?

オフショア開発とは、海外企業・子会社、または海外の現地法人にシステム開発などの業務を委託することを指します。システム開発では、コストの大半を人件費が占めているため、人件費の削減はとても重要なことです。そこで日本では、アジア地域を中心にオフショアを活用してコスト削減を図っています。さらに、昨今では日本のITエンジニア不足を背景にリソースを確保するために、オフショアを活用するケースも増えてきています。

▼はじめてでオフショア開発の進め方が分からない方は、こちらの記事をご覧ください。

オフショア開発の目的とメリットは?

先でも記述しましたが、オフショア開発の目的は多様化してきています。現在でもオフショア開発の一番大きな目的はコスト削減ですが、国内リソース不足やグローバル戦略としても多く利用されています。ここからは、オフショア開発の目的上位3つについて解説していきます。

出展:オフショア開発白書2022

コスト削減

やはり現在でもまだコスト削減が、一番大きな目的となっています。システム開発には、多額の人件費が必要なケースが多く、人件費はコスト削減に大きく影響します。オフショア開発先として人気の高いアジア諸国では、人件費を抑えた人材確保が可能です。国ごとで単価に違いはありますが、日本で人材を確保するよりは人件費を抑えられる可能性は高いでしょう。オフショア開発を選択することによりかかるコストもありますが、総合コストを比較するとオフショア開発の方が安いケースは多いです。

▼国別のオフショア開発費用はこちらの記事を参考にしてください。

ITエンジニアの確保

世界中でAIやIoTなどインターネットを介したサービスの展開に伴い、IT業界は目覚ましい成長を遂げています。このような状況で、日本経済産業省委託事業の調査で、2030年までにITエンジニアが最大で79万人不足するという予測が発表されました。日本国内だけではITエンジニアの需要に追いつくことは難しく、オフショア開発がいっそう注目されています。さらに、世界的にITエンジニアへの需要が高まっていることから、特に先進国では優秀なITエンジニアを確保することは多大なコストがかかります。日本の企業においては、優秀なITエンジニアの確保が早急の課題となっており、海外に優秀な人材を求める動きが加速しています。オフショア開発を活用して、効果的に人材不足を解消することができ、プロジェクトを迅速に進めることが可能となります。

グローバル展開

従来の海外進出は大規模な投資が不可欠で、大企業でなければ参入が難しいとされていました。しかしながら、インターネットの発展によって障壁が低くなり、中小企業でもグローバル展開を可能としました。グローバル展開をする上で、オフショア開発は非常に強い味方です。 オフショア開発では、海外勢の技術力を活用することでより大規模なシステム開発が可能となります。そのため、長期的な契約である「ラボ型開発」を結ぶケースも多くなってきています。

自社チームを確保できる

通常の外注では、案件ごとにチームを作るもののプロジェクトが終了となると解散となってしまい、開発に関するノウハウを社内に蓄積できないという大きなデメリットがあります。しかし、オフショア開発では契約の仕方によって、中長期的に開発チームを確保することができるため、ノウハウを蓄積することができます。このような契約手法をラボ型開発と呼び、案件ベースではなく人材ベースの契約となります。ラボ型開発では、通常半年~1年単位での契約となり、契約期間中は開発チームを確保することができます。契約期間中であれば、案件の進捗状況に応じた各種変更も可能となります。

▼ラボ型開発については、こちらの記事をご覧ください。

オフショア開発のデメリット

オフショア開発が注目されるにつれて、失敗例も出てきています。オフショア開発にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。主なデメリットを3点紹介します。

言語・文化の壁

オフショア開発で一番の課題となりうることは、「コミュニケーション」です。お互いに要件を正確に伝えることができなければ、プロジェクトが失敗に終わってしまう可能性もあります。物理的な距離が離れている影響もあり打合せが行いにくいため、WEBでの打合せを行い密にコミュニケーションを取ることを心がけましょう。また、文化の違いがあることも理解しておかなければなりません。日本人にとっての常識と海外エンジニアの常識が異なることもあるため注意が必要です。コミュニケーションの助けとなる「ブリッジSE」を活用することも、有効な解決方法です。

▼言語については、こちらの記事をご覧ください。

進捗管理が困難

物理的な距離が離れていることにより、進捗・品質確認が困難というデメリットもあります。進捗通り進んでいると思っていても、「実は遅れている」「品質に問題がある」ケースもあるようです。また、日本との文化の違いにより、納期への意識の差があることもあるため注意が必要です。日本では何とかして納期に間に合わせようとしますが、海外の文化ではそうでないことも多いです。現在はWEB会議も一般的になり、密に進捗報告の連絡を取り合っていれば大きな問題とはならないでしょう。オフショア開発先でアジア諸国を活用する場合は、大きな時差がないためWEB会議も問題なく行えます。

小規模案件ではコスト削減できない

オフショア開発でコストメリットが実現できる案件は、大型案件に限られます。小規模案件でも開発エンジニアの人件費を削減できる可能性は高いですが、その他の費用もかかりトータルで考えると高くなってしまうケースもあります。その他の費用というのは、「ブリッジSE」や「コミュニケーター」にかかる費用を指します。これらの費用は海外とのやり取りをする上で、どうしても必要な費用となってしまいます。実際にオフショア開発を活用する際には、システムの規模も意識するようにしましょう。

オフショア開発の現状・動向と今後

オフショア開発の市場規模は拡大しています。市場が拡大していく中で、単価や人気の委託国には移り変わりがあります。今回は、日本最大級のオフショア開発のためのマッチングサイト、「オフショア開発.com(運営:株式会社Resorz)」が公開している「オフショア開発白書(2022年版)(以下、同白書)」を参考にして、オフショア開発の現状・今後について考えます。

オフショア開発の現状・動向

同白書によると、オフショア開発に主たる目的の移り変わりを指摘しています。長い期間オフショア開発の目的は「コスト削減」でしたが、ここ2~3年では「コスト削減」に加えて国内ITエンジニアのリソースを補う目的の「リソース確保」の側面での活用が目立ちはじめています。
また、オフショア開発委託先の国別ランキングではベトナムが約50%以上を占めています。ここ数年はベトナムへの一局集中の状態が続いていましたが、中長期的な視点からポストベトナムを探る動きが広がっています。ベトナムでは技術力が上昇するごとに、オフショア開発先のポジションは変化していくことが予想されます。

オフショア開発の今後

オフショア開発の需要は、今後数年間は続くのではないでしょうか。今後もIT業界の発展が続くことが予想されており、特に日本の企業ではITエンジニア不足は続くことでしょう。このような状況下で、海外にリソースを求める動きは今後も加速することが予測されます。また、グローバル市場では「日本語対応可能なエンジニア」よりも「英語対応可能なエンジニア」の方が多く、日本のオフショア開発企業も欧米を視野に入れはじめることが予想されます。現在でも日本語対応可能な海外エンジニアは貴重な存在ですが、今後ますます貴重になることが予想されます。
オフショア開発先では、技術力の高まりや豊富なリソースから、基幹系のシステムを受託する企業も増加しています。2025年の崖・2030年問題などから、ますます国内リソースは圧迫されるため、オフショア開発の案件数は増加していくでしょう。

オフショア開発で失敗しないために

オフショア開発のメリットとデメリットを紹介してきました。オフショア開発はシステムの規模にはよるものの、上手く活用できれば多くの場合コストを削減することが可能です。
本記事で紹介している、デメリットも多くはコミュニケーションで解決できます。オフショア開発では、お互いの文化を尊重しながら、適切なコミュニケーションを取ることで成功する可能性は大きく高まるでしょう。

DCRのオフショア開発では

DCRのオフショア開発ではお客様とのプロジェクト窓口、並びに上流工程、プロジェクトマネージメントはDCR(日本人)が担当いたします。設計工程以降は中国及びミャンマーに依頼してコストダウンを図ります。お客様はオフショアを意識せず、コストダウンが可能です。
また、ラボ型開発で現地メンバーと直接やり取りが発生する際にも、ミャンマーDCRでは社内公用語は日本語となっております。そのため、コミュニケーションは全て日本語で対応可能ですので、コミュニケーションの不安はありません。
第一コンピュータリソースでは、これまで多くのオフショア開発をご支援させていただきました。まずはお気軽にご相談ください。